毒親に育てられた子供が幸せな家庭を築くまで

私はいわゆる毒親に育てられた子どもです。その影響から長い間辛い人生を歩んできました。けれど、そんな私も結婚し、負の連鎖を起こすことはしないと決意しました。現在では妻と長男と幸せな家庭を築いています。私の経験が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

精神科、心療内科への受診について〜【アダルトチルドレン克服】

毒親に育てられた子どもが精神疾患を抱えていることは少なくないと思います。

 

ただ、精神科や心療内科の受診については抵抗を覚える方が多いのでは無いでしょうか。

 

「メンタルに不調を抱えているように感じるけれど、病院に行くのは抵抗がある。」

 

「周りの人にどう思われるだろうか。」

 

「考え方や性格の問題だから、病院に行ったって変わらないと思う。」

 

そう考える人は少なくないと思います。

 

結論から言いますと、私の場合、10年近く性格や考え方の問題と捉えて、どれだけ努力しても改善されなかった人付き合いの悩みが、SSRIという薬物を服用することで、一気に改善されました。

 

この経験から、努力だけではどうしようもないけれど、医学の領域で治療可能な部分がある、と理解しました。

 

今回は私が心療内科を受診した話をしたいと思います。同じような苦しみを抱える方の参考になれば、と思います。

 

目次

 

考え方や行動を変えることで人間関係を改善することは可能

 あくまで私の経験上の話ですが、自己啓発本や心理学系の本を読み、自分の考え方や行動を変えることで、昔の自分に比べると大きく人間関係を向上させることができました。

 

 例えば、昔の私は、大学の3年生頃からうまく人間関係を構築することができなくなり、大学院へ進学した時はクラスに溶け込むことが全くできなくなってしまいました。

 就職をしてからも同期との関係をうまく築けず、飲み会や集まりを避けるようになりました。数ヶ月間研修施設に缶詰だった初任者研修は私にとってまさに地獄でした。

 

 ちょうどその頃、機能不全の家族で育った子どもは、その後の精神的な発達に遅れが生じ、それが人間関係の構築を難しくさせている、という内容の本を読み、自分が毒親に育てられたのだ、と自覚しました。

 その後、スーザンフォワードの「毒になる親」等のアダルトチルドレン関連の本を読んだり、自己啓発本を読み漁ったりして、自分の考え方や行動を変える努力をしました。

 

 私は会話や笑顔の練習をし、勇気を振り絞って職場の人に話しかけたり、嫌な気持ちを押し殺して飲み会を企画したり、遊びを企画したりしました。

 ネガティブな発言や態度を意識的に避け、ポジティブな言動を心がけました。

 

 その結果、自分がチャレンジした行動に比例して人間関係は改善されていきました。その経験から私が学んだことは、嫌なことにあえて取り組むことで結果が出るのだ、ということでした。そしてそれは多くの自己啓発本の内容と一致していたため、私はそれが正しいのだ、と信じ努力を続けました。

努力だけで苦しみを無くすことはできなかった

 しかし、努力をし続けて気付いたことがありました。それは、私の場合、どれだけ努力を続けても人付き合いが楽にならない、ということでした。

 初対面の人や、慣れない場面で緊張する、というのは誰しもそうだと思いますが、私の場合、どれだけ場数を踏んでも慣れる、ということがありませんでした。

 確かに努力した分人間関係は改善されましたし、私に好感を持ってくれる人は増えました。しかし、どれだけ仲良くなっても私は人といるのが苦痛でした。毎回緊張し、それを考えても自分にメリットはあまりないと分かっていても、「うまく振る舞うことができるだろうか」、「うまく話すことができるだろうか」と不安になり、他の人は気にしないようなことでも、少しでもうまくいかなかったと感じることがあると「相手を不快にさせたのではないか」、「もっとうまく振る舞えたのではないか」といった考えがグルグルと頭の中で繰り返されました。

 

 周りの信頼できる人に相談をすると、大抵「周りはそんなに気にしていないので気にする必要はない」といった内容の回答をもらえて、確かに自分でもそうだ、と思うのですが、なかなかこの思考が消すことができませんでした。

 

 ただ、行動しなければ人間関係は崩れてしまう、と考えていたので、そういった不安や嫌な気持ちを抑えて、感情に流されず、自分が最善と思う行動を取れるよう常に心がけていました。

 

 しかし、私に転機が訪れたのは、急に大きな仕事が職場に舞い込み、今までと事態が一般して職場が激務になった時でした。私は過労と精神的なストレスで仕事に行けなくなってしまい休職に追い込まれました。

 過労が大きな要因だったのですが、休職に追い込まれて私が最初に感じたことは「もう人とは関わりたくない」、「もう人とは話したくない」ということでした。

 

心療内科を受診して体質の問題であることが分かった。

 私は休職をするために心療内科を受診しました。当然仕事による過労で受診したのですが、今まで感じていた悩みを聞いてみる良い機会だと思って、これまで私が感じていた人間関係の悩みについて先生に話をしました。

 そしてその時、先生から言われたのは、

 

「社交不安障害かもしれない。」

 

ということでした。

 専門的なことは分かりませんが、社交不安障害とは脳内物質(主にセロトニン)の調整がうまくいかず、不安を過敏に感じてしまう体質であるため、社交的なやりとりが必要な場面でうまく振る舞うことができない、というものだそうです。

 先生から資料をいただき読んでみると、確かに当てはまる項目がいくつもありました。そして先生によると、「不安には薬がよく効くので、自分に合った道具を見つけた、と思って一度薬を飲んでみるのはどうか」と勧められました。

 そこから私はSSRIという脳内のセロトニンの量を調整する薬をいただき、服用することにしました。

 

長年の悩みが薬物療法によって解決した

 正直最初は半信半疑でした。本当に薬で不安が減るのか、そもそも不安が減ったところでこれまで20年近く悩んできた人間関係の問題が改善されるのか、全くイメージができませんでした。

 しかし、私は自分が機能不全の家族で育ったと自覚してから10年近く、人一倍自分を変えるために努力してきたつもりでした。

 正直、あの時はこれ以上どう考え方を変えて、どう努力すれば状況が改善されるのか光が見えず、お手上げ状態でしたので、藁にもすがるような気持ちで先生の助言を受け入れました。

 ただ、社交不安障害という疾患名を知り、薬物療法を初めて思ったのは「もしこれが体質的な問題であったのであれば、私がいくら努力しても状況が改善されなかったことが腑に落ちる」というものでした。

 

 最初の数週間は特に変化を感じませんでしたが、私が変化を感じたのは大体1ヶ月程経ってからでした。

 それは自宅のインターネットの機材の調子が悪くなった時に、業者へ連絡した時のことでした。よくあることですが、当たったのが若手の社員で態度の悪い対応を取られました。

 いつもの私でしたら、相手が若手で接客マナーが未熟と頭で理解できても、なぜか動悸がしてしまい、胸が詰まった感じがして、声が震えてしまいます。そして、そういった身体の反応を抑えて冷静を装うのに必死になり、うまく話せないことが多いのですが、その時は一瞬嫌な感じは覚えるのですが、動機もせず、胸も詰まらず、声も震えず、自分の話したい内容をスラスラとスムーズに話すことができました。

 電話が終わった後、自分でも「あれ?」と思いました。こんなに話すのって楽だったっけ、と。そして、それから色々な場面でうまく話せるか試してみたくなり、社交的な場面でうまく話せるか試してみたところ、いつも感じていたネガティブな感情(主に不安)が、私の感覚で言うと100分の1くらいに小さくなっており、非常に楽に社交的な場面で振る舞えるようになっていました。

 その時に私は確信しました。今まで私が悩んでいた問題は考え方や行動を変える、といった努力だけでは解決できない問題で、医学的な治療が必要であったのだ、と。

 

努力に限界を感じている人は精神科、心療内科への受診も検討してみるべき

 毒親に育てられた子どもは様々な問題を抱えています。そしてその状態は人によって様々です。比較的軽い問題で収まっている人もいれば重い問題を抱えている人もいるでしょう。

 問題を抱えていても環境に恵まれているためうまく適応できている人もいるでしょうし、そうではない人もいるでしょう。

 ですので、今自分が問題を抱えている、と感じている方は、様々な解決方法を試してみるべきだと私は思います。

 精神科や心療内科への受診に抵抗を覚える人もいるでしょう。自力でなんとかしたいと思う人もいるでしょう。私もそうでした。悩みを抱えながらも、自力でなんとかしたい、と考えていましたし、人一倍自分を変えるための努力をしてきたつもりです。

 しかし、今の私が過去の私に言いたいのは、もっと早く心療内科を受診すればよかったね、ということです。私の努力に意味が無かったとは決して思いませんが、もっと早く心療内科を受診していればもっと早く悩みから解放されていたのにな、と思います。

 心療内科を受診することはまだまだ抵抗のある世の中だと思います。けれども、私は大切なのは自分がどれだけ幸せに暮らせるか、ということだと思います。ひょっとしたら、医学的な治療を施すことで、あなたの長年の悩みが一気に解決するかもしれません。

 私の場合、もし心療内科を受診しなければ一生耐え難い不安に苦しみ続けなければならなかったのかもしれません。不安や恐怖の原因を自分の弱さに求め、多くの時間を自己啓発本を読んだり自分を変えることに費やし続けなければならなかったかもしれません。

 それが薬を飲むことで過度の不安から解放され、悩むことや自分を責めることに使っていた時間を、自分の家族や大切な人、自分のしたいことのために使えるのようになるのだとしたら、私は喜んで薬を飲むことを受け入れようと思っています。

 万人に医学の治療が有効かどうかは分かりませんが、もしあなたが悩みを抱えていて、心療内科の受診に踏み出せずにいるのであれば、一度勇気を出して受診してみることをお勧めします。行動をしなければ何も変わりませんが、行動をすれば何かしらの変化があります。受診した結果効果がなければ別の方法を試せばいいだけです。

 

 私の経験が同じような悩みを抱える人の参考になれば幸いです。

 

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