毒親に育てられた子供が幸せな家庭を築くまで

私はいわゆる毒親に育てられた子どもです。その影響から長い間辛い人生を歩んできました。けれど、そんな私も結婚し、負の連鎖を起こすことはしないと決意しました。現在では妻と長男と幸せな家庭を築いています。私の経験が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

内面化された親に対抗する「精神面からのアプローチ」【アダルトチルドレン克服】

 アダルトチルドレンの中には厳しすぎる「内面化された親」がいると言われています。厳しすぎる内面化された親は、アダルトチルドレンを苦しめ、永遠に支配し続ける有害な存在となります。

 

 今回はその「内面化された親」に対してどのように対抗すればいいかを考えていきたいと思います。

 

目次

内面化された親とは

不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]

 

によると、

『私たちはだれでも、2種類の親を持っています。実在する人間の親と、心のなかに住む「イメージの親」です。(p116)

『心のなかに住みついてあなたをコントロールしている親は、まるで肉体のない幽霊のようにあなたの内部を歩き回り、心に混乱と破壊をもたらします。おそらくあなたは、目の前にいない親の姿が目に浮かび、生々しく声を聞くことができるでしょう。それが心のなかに内面化された親です。』(p116)

とあります。

 

 私たちは成長の過程で両親からの影響を大きく受けています。親との関係は、私たちを形成する根本的な考え方や価値観、行動に影響を及ぼします。

 健全な両親に育てられた子供は健全な考え方、価値観、行動を身に付けることができますが、毒親に育てられた子供は歪んだ考え方、価値観、行動を身に付けます。

 

内面化された親は私たちにどのような影響を与えるか

精神面での影響

 厳しすぎる「内面化された親」は知らない間に私たちの中に住み着き、私たちに様々な影響を与えます。

 

不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]

 

によると、

『内面に住むこの”独裁者”は、ひっきりなしに「おまえはダメだ」「失敗するな」「おまえは間違っている」「トラブルになるぞ」「うまくできないじゃないか」「そら見たことか」「おまえは利己主義だ」「おまえは価値がない」「おまえは能力がない」などの言葉を投げかけてきます。』(p176)

とあります。

 つまり、幼い頃親から長期間に渡って言われ続けてきた言葉が、いつの間にか自分自身の心の言葉として定着してしまって、親から離れた後も、ネガティブな出来事に反応して私たちの頭の中で繰り返し再生されるのです。

 毒親に育てられた子供が精神的な発達を阻害されることは今となっては有名な話であり、

 

毒になる親 / スーザン・フォワード

 

によると

『私たちはだれでも、子供の時に親から心に「感情の種」を植えられる。そしてその「種」は、本人が成長するとともに芽を出して成長していく。それは、ある親子にとっては「愛情」「他人を尊重する心」「独立心」などに成長する「種」であるが、そうでない多くの家庭においては、「恐る心」「不安感」「過剰で不必要な義務感」「罪悪感」「いくらやっても不十分な気分」などに成長する種である。』(p8)

とあります。

 私たちの中に植え付けられた感情の種は、大人になるとともに成長し、それが大きすぎるネガティブな感情として心の中に根付きます。そして、その大きすぎるネガティブな考えや感情は私たちが成長するのを阻害し、他者と有益な関係を築くことを阻害します。

 

「内面化した親」に対抗するには

「内面化した親」を自覚すること

 内面化した親に対抗するために、最も重要なことであり、かつ難しいことは「内面化した親」を自覚することです。

 なぜ自覚することが難しいかというと、その理由はふたつあると私は考えています。

 ひとつめは、そもそも毒親は「真実のねじ曲げ」を行なっており、私たちはそのねじ曲げられた真実を事実として受け入れてしまっているため、毒親に責任を求めることに自体に心理的抵抗が伴うため。

 なお、「真実のねじ曲げ」については、下記の記事で掲載していますので、参考にご覧ください。

neko-chigura.hatenablog.com

 

 ふたつめは、現在自分自身に起きている特定の考えや思考が、過去の親との関わりの結果である、という結びつきがイメージしづらいからです。

 例えば、あなたが今日仕事で失敗して、「私はなんてダメなんだ」、「私なんていない方がマシだ」と自分を責めていたとして、それが過去の親との関わりの影響と即座に結びつけることができるでしょうか。

 おそらく毒親に関する知識がなければ、そのイメージを掴むことは難しいと思われます。親に責任を求めるよりもむしろ、「私はなんてネガティブなんだ」とさえ考えてしまうでしょう。

 上記2点の理由が、毒親に育てられた子供に「内面化された親」を自覚することを困難にさせている要因であると考えています。

 

どのように「内面化された親」を自覚すればいいか

 では、どのように「内面化された親」を自覚すればいいでしょうか。そのヒントについては、

 

不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]

 

によると、

『内面化した親の声は、あなたが親の価値観やルールに逆らって行動しようとする時に最も大きくなる傾向があります』(p177)

とあります。

 つまり、まずは自分の中のネガティブな感情を見つめることです。特にあなたの中のネガティブな感情が非常に大きくなった時、自分が頭の中でどのような言葉を発しているかを客観的に見つめてみることです。

 ダン・ニューハースの言葉を借りると「私はダメだ」「私は失敗するな」「私は間違っている」「私には価値がない」「私には能力がない」と言った言葉があなたの頭の中を支配する場合、それはあなたの言葉ではなく、厳しすぎる「内面化された親」の言葉です。

 そういった言葉をあなたの心の中に見つけた時、あなたは自分自身の力でその言葉を変えなければなりません。

 

内面化した親に対抗しよう

 では、あなたが自分の中の厳しすぎる「内面化された親」に気づいた時、どのように対抗することができるでしょうか。

 私個人の考えですが、アプローチの方法としては2通りあると思っています。それは精神面からのアプローチと行動面からのアプローチです。

精神面からのアプローチ

 ひとつめは精神面からのアプローチです。このアプローチ方法については、「毒になる親」、「不幸になる親」で提唱されている方法であり、

 

毒になる親 / スーザン・フォワード

 

によると、

『人間にはまずもとになる「考え」があり、つぎに人との関係による「感情」が生じ、その結果「行動」が起こるとすれば、「行動」の仕方を変えるには「考え方」と「感じ方」を変えなければならないということは容易に想像がつくであろう。』(p217)

とあり、

 

不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]

 

によると、厳しすぎる「内面化された親」の存在に気づいた時には、

『そのことを理解し、「ああそうか、完全主義者的な考えだなあ。まさにそう言うふうに育てられた通りだ」というように考えるのです。』(p177)

とあります。

 つまり、厳しすぎる「内面化された親」の存在を自覚することができたのであれば、その考え方を意識的に上書きする、ということです。

 

 ただし、根付いてしまった考え方の癖を直すことは容易なことではありません。きっと、最初はかなりの違和感を感じるでしょう。「私なんかにそんな優しい言葉をかける必要はない」と感じることもあるかもしれません。

 そして、1回や2回考え方を上書きしたからと言って自分が変わるわけでも、自分の周りの状況が変わる訳でもありません。きっと何度も「こんなことやったって意味がない」と感じることがあるでしょう。

 大切なのはそれでも信じて続けることです。あなたの心の中には、あなたが大人になってもいまだに「内面化された親」に攻撃され続けている幼い頃のあなたが住んでいます。それをインナーチャイルド、というのですが、そのインナーチャイルドを守ることができるのは大人になったあなただけです。

 もし、自分自身に対して優しい言葉をかけることに抵抗があるのであれば、愛情深い親だったら今の私にどのような言葉をかけるか想像したり、逆に、あなた自身が親の立場になり、あなたの心の中にいる傷ついた幼い頃のあなたに話しかけるように言葉をかけると、心理的抵抗が下がったりします。

 あなたが本当に自分を大切にしたい、大切な人を大切にしたい、と思うのであれば、何があっても諦めず、根気よく、その作業を続けることです。 

 

 以上が精神面からのアプローチ方法になります。記事が長くなりそうですので、行動面からのアプローチ方法については次回の記事で紹介しようと思います。

 

 

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