毒親に育てられた子供が幸せな家庭を築くまで

私はいわゆる毒親に育てられた子どもです。その影響から長い間辛い人生を歩んできました。けれど、そんな私も結婚し、負の連鎖を起こすことはしないと決意しました。現在では妻と長男と幸せな家庭を築いています。私の経験が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

毒親との対決【アダルトチルドレン克服】

毒親から自分を取り戻す方法として、私が実践したことの中の一つに毒親との対決、というものがあります。

 

この、毒親との対決は、

 

毒になる親 / スーザン・フォワード

 

という書籍の中で推奨されていますが、ネットの情報などを見ると推奨していない方も多いようです。

 

 ただ、私としては効果がありましたので、私がどのように毒親との対決を実践したかを紹介しようと思います。

目次

 

なぜ毒親と対決しなければならないのか

 この点についてスーザン・フォワードは「毒になる親」の中で次のように述べています。

 

『"対決"の目的についてはっきりさせておこう。その目的は次のようなことではない。

 ● 親に復讐するため

 ● 親を罰するため

 ● 親をけなすため

 ● 自分の怒りをぶちまけるため

 ● 親から何かを引き出すため

 その真の目的はつぎのようなことだ。

 ● 親と正面から向き合い、はっきりと話をすること

 ● そのことへの恐怖を、これを最初で最後のこととして勇気を出して乗り越えること

 ● 親に真実を語ること

 ● 親と今後どのような形の関係を維持することが可能かを判断すること』

(p255)

 つまり、「対決」という言葉を使っていますが、決して喧嘩をする訳でも、親を打ち負かす訳でもありません。そして、本書の中でも述べられていますが、対決を行うことによって親が自分のことを理解してくれる訳ではありませんし、それどころか親がネガティブな反応を示し関係が悪化することも予想されます。

 では、何のために対決を行うのか。本書にはこのように書かれています。

『大切なことは、この"対決"は彼らのためではなく、自分のために行うものだということである。』(p255)

『成功か失敗かを決めるのは親の反応がどうだったかではなく、自分にどれほどの勇気がありどのような態度を取れたかということなのである。』(p256)

 インターネットで情報を調べると、例えば親からの支援が受けられなくなる、とか、衝突をする必要はない、という理由で対決を推奨しない意見をよく耳にします。

 けれど、私の個人的な意見を言わせていただくと、対決はした方が良いです。

 アダルトチルドレンというのは、心を毒親に支配されています。親に屈して従うことしかできなくなってしまった人も、逆に拒絶して感情的に爆発してしまう人も同じです。

 私たちが自分を取り戻すために必要なことは、親から支援されることではありません、衝突を避けて穏便に済ますことでもありません、親から自分を取り戻すことです。そのためには自分の中の恐怖をコントロールして親に立ち向かうことができた、という経験が必須です。そのために対決は必要なのです。

 

いつ親と対決するべきか

 例えば「毒になる親」を読んで、もしくは私の意見を参考にして、すぐに毒親との対決を図ろうと思うことは得策ではありません。衝動的な行動は多くの場合ネガティブな結果を引き寄せます。

 何事でもそうですが、毒親から自分を取り戻す過程には段階があります。もしあなたが、自分の怒りや不安、恐れを十分にコントロールできず、親の反応に対してかなりの確率で防衛的な反応を取ってしまうことが予想される場合は、親との対決を保留するべきです。

 親との対決に必要なのは、相手がネガティブな反応をし、自分を苛立たせたり、不安にさせられたりしても、それをコントロールし、自分の意見を言うことができる、という自信を持った時です。

 そのためには自分と向き合い、自分の心をコントロールする術を身につけ、冷静に会話をするスキルを身に付ける必要があります。その方法については「毒になる親」でも述べられていますし、あなたが私を信頼してくれるのであれば、私のサイトや、あなたが信頼できると思う情報源を参考にしてもいいでしょう。

 とにかく、親との対決にはある程度人格の強さを築いておく必要があります。ただ、だからと言ってもう十分に自分と向き合い練習を積んでいるのに躊躇するのは違います。勇気と冷静さのバランスが必要であり、その判断はとても難しいものです。

 この、対決をいつ行うべきか、という点について「毒になる親」には次のように書かれています。

『時期の設定は慎重に考える必要がある。準備もせずにやぶから棒に始めたのではもちろん良い結果は生まないが、いつまでも延期しているのもまた良くない。

 多くの人は、実際の行動に移るまでに次の三段階の心理状態を通過する。

 第一段階 そんなことは自分には到底できそうにない。

 第二段階 いつかするが、いまはまだできない。

 第三段階 いつやればいいのだろうか?(p257)

『カウンセリングを受け、他の練習はすべてうまくいっても、第二段階に進むまでには二ヶ月近くかかるのもまれではない。だがそこまでいければ、第三段階にはたいてい数週間で進める。』(p257)

 あくまで目安ですが、自分と向き合い自分を取り戻す経験をある程度積み、そこから親との対決を決意するまでに2ヶ月近く、さらに実際に対決に進むまでに数週間とありますので、もしあなたが自分がアダルトチルドレンであることに気づき、これから自分と向き合い始めるのであれば、半年であるとか、1年であるとか、あるいはもっと長いかもしれませんが、それ相応の時間が必要になることを理解しておく必要があります。

 それは今苦しい思いをしているあなたにとって、果てしなく長く感じる期間かもしれません。「今の苦しみをどうにかしたいんだ、今すぐ何とかしたいんだ」と思う気持ちは分かります。私もそうでした。自分と向き合う期間が絶望的に長い期間に感じたことは何度もあります。

 ただし、経験上言い切れることがあります。それは決して短い期間ではありませんが、絶望的に長い訳でもありません。必ず遠くない将来に終わりが来ます。だから、今は抑えきれないかもしれませんが、少しでも衝動を抑える意識をしましょう。そこから始まります。自分のために衝動を抑える回数と時間を少しずつ長くしていくのです。

 

どのように親と対決を行うのか

 「毒になる親」では直接会って話をする方法か、手紙による方法を推奨しており、電話による対決は感情的なコミュニケーションに向いておらず、一方的に切られる可能性もあるため、という理由から推奨されていません。

 ただし、私の場合は電話による対決を行い、それでもある程度の効果は得られた、と感じています。

 対決時に話す内容としては、私が対決した時は話した内容はその場で考えましたが、「毒になる親」には次のような内容を含めると良いと書かれており、私もそう思います。

『1 あなたが私にしたこと

 2 その時の私の気持ち

 3 そのことが人生に与えた影響

 4 現在のあなたに望むこと』(p260)

 

対決の時の様子

 私は電話で母親との対決を図りました。それまでに「毒になる親」などを読み、ある程度のワークや実践をこなした後でした。ただ、今になって思うと私にとってはまだ対決の時期は早すぎたのかもしれないな、と考えています。

 私は平日の夜に対決を決行することにしました。ただ、その時の不安、恐怖、緊張は物凄いものでした。電話を手にしたままボタンが押せず、おそらく1時間以上その場で固まっていたと思います。ただ、ある程度時間が経ってから意を決してボタンを押しました。

 父親が出ました、頭の中は真っ白になりかけていましたが、母親に変わるように告げました。母親が出ました。緊張のため何を言ったかあまり覚えていませんが、過去に宗教に行かされて嫌だったこと、酷い扱いをされて傷ついたこと、などを伝えたと記憶しています。

 母親の反応もあまり覚えていません。悲観的な人だったので私はそんな酷いことを言ったのか、という感じの反応だったと記憶しています。

 時間は短かったです。おそらく10分も話してはいなかったでしょう、伝えたいことを告げ早々に電話を切りました。

対決の結果どのような変化が訪れたか

 私の対決は上述のように終わりました。今思うとあまり良い対決ではなかったのかもしれませんが、私には確かに一つの変化が訪れました。その変化について「毒になる親」に適切に表現されていますので紹介します。

『話し合いの直後には、突然、勇気と力が湧いてきたような気分になり、一時的に高揚した幸福感のようなものを感じることがある。』(p272)

 まさにこのような感覚であったことを覚えています。対決自体がうまくいった訳では無かったと思います、親との関係が修復された訳でもありませんでした。

 ただ、私の中に「勇気を出して電話をかけることができた、親にずっと抑え込んでいた気持ちを言えた」という不思議な自信がみなぎってきたことを覚えています。

 

毒親との対決で全てが解決されるか

 毒親との対決後、私にとっての問題が全て解決され、その後の人生がうまくいっているかというとそういう訳ではありません。

 機能不全の家族で育った代償は大きく、私は精神面でも人格的にもまだまだ成長しなくてはいけません。傷つきやすい心は今でも持っています。

 ただし、毒親との対決を経験したことにより、私は自分の感情だけに左右されず、自分の意思で自分の感情に関わりなく問題に建設的に立ち向かえることができるようになりました。毒親の支配から抜けるというのはきっとこういうことなんだと思います。

 ですので、もしまだ毒親に感情的に支配されている、と感じている方がいるのであれば、毒親との対決を検討してみることをお勧めします。

 

 

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