内面化された親に対抗する「精神面からのアプローチ」【アダルトチルドレン克服】
アダルトチルドレンの中には厳しすぎる「内面化された親」がいると言われています。厳しすぎる内面化された親は、アダルトチルドレンを苦しめ、永遠に支配し続ける有害な存在となります。
今回はその「内面化された親」に対してどのように対抗すればいいかを考えていきたいと思います。
目次
内面化された親とは
不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]
によると、
『私たちはだれでも、2種類の親を持っています。実在する人間の親と、心のなかに住む「イメージの親」です。(p116)
『心のなかに住みついてあなたをコントロールしている親は、まるで肉体のない幽霊のようにあなたの内部を歩き回り、心に混乱と破壊をもたらします。おそらくあなたは、目の前にいない親の姿が目に浮かび、生々しく声を聞くことができるでしょう。それが心のなかに内面化された親です。』(p116)
とあります。
私たちは成長の過程で両親からの影響を大きく受けています。親との関係は、私たちを形成する根本的な考え方や価値観、行動に影響を及ぼします。
健全な両親に育てられた子供は健全な考え方、価値観、行動を身に付けることができますが、毒親に育てられた子供は歪んだ考え方、価値観、行動を身に付けます。
内面化された親は私たちにどのような影響を与えるか
精神面での影響
厳しすぎる「内面化された親」は知らない間に私たちの中に住み着き、私たちに様々な影響を与えます。
不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]
によると、
『内面に住むこの”独裁者”は、ひっきりなしに「おまえはダメだ」「失敗するな」「おまえは間違っている」「トラブルになるぞ」「うまくできないじゃないか」「そら見たことか」「おまえは利己主義だ」「おまえは価値がない」「おまえは能力がない」などの言葉を投げかけてきます。』(p176)
とあります。
つまり、幼い頃親から長期間に渡って言われ続けてきた言葉が、いつの間にか自分自身の心の言葉として定着してしまって、親から離れた後も、ネガティブな出来事に反応して私たちの頭の中で繰り返し再生されるのです。
毒親に育てられた子供が精神的な発達を阻害されることは今となっては有名な話であり、
によると
『私たちはだれでも、子供の時に親から心に「感情の種」を植えられる。そしてその「種」は、本人が成長するとともに芽を出して成長していく。それは、ある親子にとっては「愛情」「他人を尊重する心」「独立心」などに成長する「種」であるが、そうでない多くの家庭においては、「恐る心」「不安感」「過剰で不必要な義務感」「罪悪感」「いくらやっても不十分な気分」などに成長する種である。』(p8)
とあります。
私たちの中に植え付けられた感情の種は、大人になるとともに成長し、それが大きすぎるネガティブな感情として心の中に根付きます。そして、その大きすぎるネガティブな考えや感情は私たちが成長するのを阻害し、他者と有益な関係を築くことを阻害します。
「内面化した親」に対抗するには
「内面化した親」を自覚すること
内面化した親に対抗するために、最も重要なことであり、かつ難しいことは「内面化した親」を自覚することです。
なぜ自覚することが難しいかというと、その理由はふたつあると私は考えています。
ひとつめは、そもそも毒親は「真実のねじ曲げ」を行なっており、私たちはそのねじ曲げられた真実を事実として受け入れてしまっているため、毒親に責任を求めることに自体に心理的抵抗が伴うため。
なお、「真実のねじ曲げ」については、下記の記事で掲載していますので、参考にご覧ください。
ふたつめは、現在自分自身に起きている特定の考えや思考が、過去の親との関わりの結果である、という結びつきがイメージしづらいからです。
例えば、あなたが今日仕事で失敗して、「私はなんてダメなんだ」、「私なんていない方がマシだ」と自分を責めていたとして、それが過去の親との関わりの影響と即座に結びつけることができるでしょうか。
おそらく毒親に関する知識がなければ、そのイメージを掴むことは難しいと思われます。親に責任を求めるよりもむしろ、「私はなんてネガティブなんだ」とさえ考えてしまうでしょう。
上記2点の理由が、毒親に育てられた子供に「内面化された親」を自覚することを困難にさせている要因であると考えています。
どのように「内面化された親」を自覚すればいいか
では、どのように「内面化された親」を自覚すればいいでしょうか。そのヒントについては、
不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]
によると、
『内面化した親の声は、あなたが親の価値観やルールに逆らって行動しようとする時に最も大きくなる傾向があります』(p177)
とあります。
つまり、まずは自分の中のネガティブな感情を見つめることです。特にあなたの中のネガティブな感情が非常に大きくなった時、自分が頭の中でどのような言葉を発しているかを客観的に見つめてみることです。
ダン・ニューハースの言葉を借りると「私はダメだ」「私は失敗するな」「私は間違っている」「私には価値がない」「私には能力がない」と言った言葉があなたの頭の中を支配する場合、それはあなたの言葉ではなく、厳しすぎる「内面化された親」の言葉です。
そういった言葉をあなたの心の中に見つけた時、あなたは自分自身の力でその言葉を変えなければなりません。
内面化した親に対抗しよう
では、あなたが自分の中の厳しすぎる「内面化された親」に気づいた時、どのように対抗することができるでしょうか。
私個人の考えですが、アプローチの方法としては2通りあると思っています。それは精神面からのアプローチと行動面からのアプローチです。
精神面からのアプローチ
ひとつめは精神面からのアプローチです。このアプローチ方法については、「毒になる親」、「不幸になる親」で提唱されている方法であり、
によると、
『人間にはまずもとになる「考え」があり、つぎに人との関係による「感情」が生じ、その結果「行動」が起こるとすれば、「行動」の仕方を変えるには「考え方」と「感じ方」を変えなければならないということは容易に想像がつくであろう。』(p217)
とあり、
不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]
によると、厳しすぎる「内面化された親」の存在に気づいた時には、
『そのことを理解し、「ああそうか、完全主義者的な考えだなあ。まさにそう言うふうに育てられた通りだ」というように考えるのです。』(p177)
とあります。
つまり、厳しすぎる「内面化された親」の存在を自覚することができたのであれば、その考え方を意識的に上書きする、ということです。
ただし、根付いてしまった考え方の癖を直すことは容易なことではありません。きっと、最初はかなりの違和感を感じるでしょう。「私なんかにそんな優しい言葉をかける必要はない」と感じることもあるかもしれません。
そして、1回や2回考え方を上書きしたからと言って自分が変わるわけでも、自分の周りの状況が変わる訳でもありません。きっと何度も「こんなことやったって意味がない」と感じることがあるでしょう。
大切なのはそれでも信じて続けることです。あなたの心の中には、あなたが大人になってもいまだに「内面化された親」に攻撃され続けている幼い頃のあなたが住んでいます。それをインナーチャイルド、というのですが、そのインナーチャイルドを守ることができるのは大人になったあなただけです。
もし、自分自身に対して優しい言葉をかけることに抵抗があるのであれば、愛情深い親だったら今の私にどのような言葉をかけるか想像したり、逆に、あなた自身が親の立場になり、あなたの心の中にいる傷ついた幼い頃のあなたに話しかけるように言葉をかけると、心理的抵抗が下がったりします。
あなたが本当に自分を大切にしたい、大切な人を大切にしたい、と思うのであれば、何があっても諦めず、根気よく、その作業を続けることです。
以上が精神面からのアプローチ方法になります。記事が長くなりそうですので、行動面からのアプローチ方法については次回の記事で紹介しようと思います。
コントロールされる仕組みを知ろう【アダルトチルドレン克服】
私たちはアダルトチルドレンは、毒親に支配された結果、大人になってから多くの心の問題に悩み、苦しみます。
私たちが自分がどのように毒親に支配され、どのようにして自分の内面に問題を抱えるようになったのか、その仕組みを理解することは、私たちが今後どのように自分の問題を認識し、その問題について対処していけばいいかを理解する上で手助けとなります。
今回は、毒親が子供を支配するまでの仕組みについて紹介したいと思います。
目次
- 毒親の典型的なコントロールパターンについて理解する
- 毒親に子供がコントロールされるまでー真実をねじ曲げるー
- 毒親に子供がコントロールされるまでー有害な環境に長期間晒されることで子供の成長を阻害するー
- 毒親に子供がコントロールされるまでー内面化した親として永遠に子供を支配するー
- 負の連鎖を止めるためには、責任をあるべき場所へ返そう
- 最後に、信頼できる知識と情報を得て自分自身と向き合おう
毒親の典型的なコントロールパターンについて理解する
当然のことですが、毒親にはその問題の原因となる問題行動があります。例えば「暴力を振るう」、「無視をする」、「暴言を浴びせる」といった行動のことです。
ただし、問題行動自体については健全な親でも見られます。毒親が子供を支配するまでにはその後いくつかの段階を経るのですが、その点については後述しようと思います。
まずは、毒親が子供をコントロールするパターンについて紹介したいと思います。この点について、
不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]
によると、毒親が子供をコントロール、典型的な12の手口が下記の通り書かれています。
また、本書には典型的な12のコントロール手口に加え、具体例及びその結果子供に起きる可能性のある問題について書かれています。
今回は、私の母親に該当する「10.子供の幸せを取り上げてしまう。」について取り上げてみようと思います。
手口
「10.子供の幸せを取り上げてしまう。」
具体例
・気に入らないことがあると愛情を引っ込めてしまう
・温かさや励ましを与えない
・「守られている」という気持ちや、「家族の一員である」という安心感を与えない。
その結果、子供に起きる可能性
・自分は愛されるに値しないと感じる
・依存心が増す
・期待を持たなくなる
・「ひどい扱いでも受け入れよう」という意識が増す
・うつと不安症候群の危険性が高まる
この内容は私にも当てはまっています。
なぜ自分の親が行ったコントロールと、今自分に起きている問題の関連性について理解することが重要かと言うと、アダルトチルドレンはこの因果関係について理解していないことが多いからです。
「親のことを悪く言ってはいけない」であるとか、「それは自分の原因だから」とか、そういった考えや罪悪感が頭の中にあり、親の問題行動と自分に起きている問題を結びつけて考えることができないのです。ちなみに、なぜこのような考えになってしまうのかについては後述します。
毒親に子供がコントロールされるまでー真実をねじ曲げるー
上述した話ですが、健全な親であっても問題行動は起こします。ただ、その後毒親になる人とそうでない人の違いは、自分が問題行動を起こした後にあります。それは毒親は自分に都合よく「真実をねじ曲げる」という点です。
この点について、
不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]
には次のようにあります。
「子供を精神的に虐待する親は、高利貸しが『お金』を使うのと同じように『罪悪感』を使う。高利貸しは借り手が完済することを望まない。全額返済されないかぎり、利息を永久に取り続けることができるからだ。それと同じように、子供を精神的に虐待する親は、子供に永久に罪悪感を持たせておこうとする。子供が罪悪感を持たなくなったら、コントロール力がなくなってしまうからだ」(p125)
『コントロールばかりする親が使う「12の手口」は、子供が自分の意思で物事の判断ができるようになる前に打ち込まれる、くさびのようなものです。こうして子供は、親を少しでも批判するようなことを考えただけで、親を裏切っているような気分にさせられてしまうのです。でも子供には、自分がなぜそういう気分になるのかがよくわかりません。』(p125)
つまり、健全な親であれば自分が問題行動を取ってしまったとしてもそれを自覚し、その問題行動を修正するなり、子供に理由を説明して子供に謝るなりすることで健全な関係を保つことができます。
毒親の場合は違います。毒親の場合は、自分が起こした問題行動の責任を子供に転換することで問題を解消しようとします。そしてそれは子供が自分で物事を判断できるようになる前に行われます。そうすることで子供は親の問題行動に対して「自分が悪い」という思い込みを持つようになります。これがコントロールの始まりです。
毒親に子供がコントロールされるまでー有害な環境に長期間晒されることで子供の成長を阻害するー
毒親の支配は長期間に渡って続きます。長期間そういった環境に置かれた子供は様々な問題を抱えるようになります。
不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]
には次のようにあります。
- 子供時代に親からののしられたり、必要な世話をされなかったり、愛情を取り上げられたりしていると、自己像がゆがむ。
- 自己像がゆがんでいると、自分を表現する気が起きない。
- 自分を表現しないと外部の人との結びつきが持てずに孤立し、その結果、有害な親への依存度がますます高まる。
- コントロールばかりする親への依存度が強ければ強いほど、他人との間に健康的な境界を持つことができなくなる。(p134)
こうして子供の健全な発達が阻害され、子供自身が内面に問題を抱えてしまうようになります。それが今大人になって苦しんでいる私たちの姿であると言えます。
毒親に子供がコントロールされるまでー内面化した親として永遠に子供を支配するー
毒親に育てられた子供は、大人になって、物理的に毒親から離れた後も毒親からの支配に苦しみ続けます。それはなぜでしょうか。
不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]
によると、
『私たちはだれでも、2種類の親を持っています。実在する人間の親と、心のなかに住む「イメージの親」です。(p116)
『心のなかに住みついてあなたをコントロールしている親は、まるで肉体のない幽霊のようにあなたの内部を歩き回り、心に混乱と破壊をもたらします。おそらくあなたは、目の前にいない親の姿が目に浮かび、生々しく声を聞くことができるでしょう。それが心のなかに内面化された親です。』(p116)
とあります。
つまり、直接的に対峙する親だけではなく、私たちの内面には心の中に住む「イメージの親」が形成されてしまっており、親と離れた後もその「内面化された親」が永遠に私たちを支配し続ける、ということです。
こうして毒親に育てられた子供もまた、自身の中に問題を抱え込むようになり、大人になってから自分の親と同じような問題を自分も抱えてしまう、という構図になっています。これが毒親の連鎖が続く仕組みです。
ですので、以前の記事でも述べましたが、毒親であった自分の親もまた、この負の連鎖によって自分の健全な成長を絡め取られてしまっているのです。そうした負のサイクルの中に私たちアダルトチルドレンは存在しています。
負の連鎖を止めるためには、責任をあるべき場所へ返そう
私たちは「毒になる家系」という悲しいサイクルの中にいます。私たちも被害者ですが、私たちを被害者にした親もまたその被害者である、ということです。そして私の記事を読んでくださっている方々は、その負のサイクルを止めたいと思ってもがいているのではないでしょうか。
では、この負のサイクルを止めるにはどうすればいいか。道は長くて険しいですが、まず最初にすることは、「責任をあるべき所在へ返す」ということだと思います。それにはまず、「自分自身のために怒り、嘆き、悲しむこと。」そして「その責任を自分の親へしっかりと返す」ということが必要だと思います。
私たちは親から「罪悪感」というくさびを打ち込まれています。なので冒頭でも述べましたが、「親のことを悪く言うのは良くない」だとか「自分がいけないから」だとか、そういった考えが頭をよぎるかもしれません。親もまた被害者であった、という事実を知って、被害者である親を責めるのはかわいそうだ、と思うかもしれません。
けれども、本当に自分と自分の家族、自分の親、自分の家系を救いたいと思うのであれば、それをしなければなりません。
最後に、信頼できる知識と情報を得て自分自身と向き合おう
この記事を読んでくださった方の中には、今既に自分自身と向き合って毒親に立ち向かっている方やその決心がついた方がいらっしゃるかもしれません。
けれども、「決心はついたけれども一体何をどうしていいか皆目検討がつかない」と感じてらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最近では「毒親」という言葉が有名になり、ネットや書籍でたくさんの情報が得られるようになりました。このサイトもその中のひとつでしょう。
何が正しい情報なのかを見極めるのはすごく難しいことだと思います。私自身、何が正しいかなんて正直分かっていないと思います。誰かにとって効果がある情報でも、他の誰かにとってはあまり効果的ではないものだってあります。
ただ、世の中には人の弱みにつけ込んで、それを悪用しようとする類の人もいます。なので、情報の取捨選択には気をつけていただきたいと思います。
信頼できる人や書籍、場合によってはネット、に出会うことは自分の回復を早めるための最善の手段だと考えています。
匿名のブログで私のことを信頼してください、というのには少し無理があるかもしれませんが、このサイトでは私自身の体験から、私自身が効果があったと感じるもの、信頼できると感じる書籍や情報を発信していきたいと考えております。
私と同じような苦しみを抱えている方の人生が、少しでも前に進むお手伝いができたら嬉しく思います。
毒親のパターンを知る【アダルトチルドレン克服】
目次
毒になる親には幾つかのパターンがある
不幸にする親 人生を奪われる子供 [ ダン・ニューハース ]
によると、毒親は以下の8つのパターン、もしくはそのいくつかを備えていると述べられています。
<その1>かまいすぎて子供を窒息させる親(p58)
<その2>子どもの幸せを取り上げる親(p64)
<その3>完璧主義者の親(p70)
<その4>カルトのような親(p76)
<その5>支離滅裂な親(p81)
<その6>常に自分の都合が優先する親(p88)
<その7>身体的な虐待をする親(p97)
<その8>責任を果たせない親(p105)
このブログで全てを紹介することは著作権上難しいと思われますので、今回は私の親がどのような親であったかについて書きたいと思います。
私の親がどのようなタイプであったか
私の母親は「<その2>子どもの幸せを取り上げる親」でした、「不幸にする親」によると、このタイプの親は、
●機嫌を損ねると愛情を引っ込めてしまい、承認を与えなかったり口をきかないなどして子供をコントロールする。
●幸福や幸運はめったにないものだと思っている。
●愛情は子どもをコントロールするための道具だと思っている。
●子供を褒めたり、スキンシップを与えることがほとんどない。
●大きくなった子供には、「縁切りにする」とか「遺産は相続させない」などと脅して圧力をかける。(p64)
とあり、その結果子供には次のようなことが起きる可能性があると述べられています。
●自己不信が増す。
●抑うつ感がつのる。
●物事に対する期待感や自信が持てない。
●「自分は愛情に欠けていて、人からも愛されない」と感じる。
●人とつき合う能力の発達が遅れる。(p65)
私の母親は、私に「何もできない人間である」ことを求めました。
私が小学校の時、字がうまかった私が友達に字の書き方を教えていると、それが気に食わなかったらしく、友達が帰った後母親から「お前みたいに汚い字を書くやつは見たことがない」と言われました。
ずっと成績が悪かった私が努力して勉強をし、中学校の定期テストで上位10%以内の順位に入った時、母親は私に向かって「お前は頭が良くなったから私を馬鹿にしているんだろう」と言いました。
私が宗教を辞めたいと言った時、泣き叫びながら私を殴り「お前は進学させない」「ご飯を食べさせない」「一切金は出さない」と言いました。
母親にとって愛情とは子どもをコントールするための手段であったのです。その結果、私は本書で述べられているような精神的な弱さを抱えています。
母親から愛情を与えられたシーンは私の記憶にはあまりありませんが、例えば、母親のやっている宗教の件で父と母が言い争いをしていた時に母親の味方をした時などに褒められた記憶はぼんやりとあります。
なぜ毒親はそのような行動を取るのか
ここでひとつ、どのようなパターンの毒親に育てられたとしても、理解しておかなければならないことがあります。それは、なぜ彼らはそのような行動を取るのか、という点です。
私たち毒親に育てられた子どもは幼い頃親から酷い扱いを受け、親に対して激しい怒りを抱えています。では、なぜ彼らは私たちをそのように扱ったのでしょうか。
答えは明確です。それは、ほぼ間違いなく彼ら自身も毒親に育てられたからです。この点について、
では次のように述べられています。
『ここでひとつ忘れてならないのは、親にもまたその親がいるということだ。暖かくて愛情にあふれ、建設的な心をはぐくんでくれる親を持った子供が「毒になる親」になるということはない。つまり「毒になる親」というのは、その親もまた「毒になる親」だったのである。かくして、そこには「毒になる家系」とでも言えるものができあがってしまっている。(p176)
傷つけられた子供にとってあまり認めたくない真実かもしれませんが、親もまた毒親の被害者であったのです。
さらに本書では次のような言葉が載せられています。
『もしあなたの親が「毒になる親」だったとしても、その問題は彼らがはじめて作り出したものではないということを忘れてはならない。その前からずっと続いてきたネガティブな感情、ネガティブな家のルール、ネガティブな家族内部の人間関係、ネガティブな考え方などが何世代にもわたって伝わり、次々に積み上げられてきた結果なのである。この流れは、だれかがどこかで意識的に止めないかぎり途切れることがない。(p176)
この内容はとても重たいものです。私たちは単に親に傷つけられただけでなく、この「毒になる家系」なるシステムの中に組み込まれており、このネガティブな流れを止めるためには誰かが、意識的に止めなければこの連鎖は続いていく、ということです。
親もまた被害者であったことを理解すれば勇気が湧いてくる
ここで私個人の意見を述べさせていただくと、毒親が毒親になったパターンは2パターンあると考えていて、ひとつは本人が「毒になる家系」に組み込まれていると気付かずにそれを子供に引き継いだパターンであり、もうひとつは、「毒になる家系」の存在に気づいていたとしても連鎖を止められなかったパターンです。
あまり良い話ではありませんが、私は毒親との対決後、親に対する怒りが増幅してしまって何度か母親に怒りの電話をかけたことがあります。
どういう会話をしたかは忘れましたが、その中で母親が
「私だって良い家庭を築きたかった」
と言った一言が私の記憶の中に残っています。
つまり、母親なりに良い家庭を作ろうとしてもがいた結果があの私にとっては最悪な家庭だった、ということです。
だからと言って両親に対する怒りが無くなることはありませんが、それでも自分の母親もまた被害者であったのだろう、ということはなんとなく理解できるようになりました。
私自身もそうですし、このサイトをご覧になられている方々はきっと自分の親が「毒親」であることに気づき、自らの力で負の連鎖を止めたいと思っている方が多いのではないでしょうか。私の周りにも同じような方がたくさんいます。
けれど、この「毒親」問題に真剣に取り組めば取り組むほど、その連鎖を断ち切ることがどれだけ難しいことか私は実感しています。きっと、私のようにもがいても連鎖を断ち切れなかった方が大勢いるのではないかと考えています。それくらいこの鎖は重く、硬いものです。
私にもまだまだ変えなければならない部分がたくさんある、と自覚しています。けれども、毒親について学べば学ぶほど、「この連鎖はここで止めなければならない。例え私の人生の時間の大部分が犠牲になったとしても、この連鎖を自分の家族に持ち込んではならない、自分の子供に伝えてはならない」と強く思うのです。
私には私自身の力で変えた部分がたくさんあります。そのノウハウと、私が得た知識をこのサイトで共有し、少しでも同じ苦しみを抱える皆さまのお役に立てれば幸いと思っております。
毒親との対決【アダルトチルドレン克服】
毒親から自分を取り戻す方法として、私が実践したことの中の一つに毒親との対決、というものがあります。
この、毒親との対決は、
という書籍の中で推奨されていますが、ネットの情報などを見ると推奨していない方も多いようです。
ただ、私としては効果がありましたので、私がどのように毒親との対決を実践したかを紹介しようと思います。
目次
なぜ毒親と対決しなければならないのか
この点についてスーザン・フォワードは「毒になる親」の中で次のように述べています。
『"対決"の目的についてはっきりさせておこう。その目的は次のようなことではない。
● 親に復讐するため
● 親を罰するため
● 親をけなすため
● 自分の怒りをぶちまけるため
● 親から何かを引き出すため
その真の目的はつぎのようなことだ。
● 親と正面から向き合い、はっきりと話をすること
● そのことへの恐怖を、これを最初で最後のこととして勇気を出して乗り越えること
● 親に真実を語ること
● 親と今後どのような形の関係を維持することが可能かを判断すること』
(p255)
つまり、「対決」という言葉を使っていますが、決して喧嘩をする訳でも、親を打ち負かす訳でもありません。そして、本書の中でも述べられていますが、対決を行うことによって親が自分のことを理解してくれる訳ではありませんし、それどころか親がネガティブな反応を示し関係が悪化することも予想されます。
では、何のために対決を行うのか。本書にはこのように書かれています。
『大切なことは、この"対決"は彼らのためではなく、自分のために行うものだということである。』(p255)
『成功か失敗かを決めるのは親の反応がどうだったかではなく、自分にどれほどの勇気がありどのような態度を取れたかということなのである。』(p256)
インターネットで情報を調べると、例えば親からの支援が受けられなくなる、とか、衝突をする必要はない、という理由で対決を推奨しない意見をよく耳にします。
けれど、私の個人的な意見を言わせていただくと、対決はした方が良いです。
アダルトチルドレンというのは、心を毒親に支配されています。親に屈して従うことしかできなくなってしまった人も、逆に拒絶して感情的に爆発してしまう人も同じです。
私たちが自分を取り戻すために必要なことは、親から支援されることではありません、衝突を避けて穏便に済ますことでもありません、親から自分を取り戻すことです。そのためには自分の中の恐怖をコントロールして親に立ち向かうことができた、という経験が必須です。そのために対決は必要なのです。
いつ親と対決するべきか
例えば「毒になる親」を読んで、もしくは私の意見を参考にして、すぐに毒親との対決を図ろうと思うことは得策ではありません。衝動的な行動は多くの場合ネガティブな結果を引き寄せます。
何事でもそうですが、毒親から自分を取り戻す過程には段階があります。もしあなたが、自分の怒りや不安、恐れを十分にコントロールできず、親の反応に対してかなりの確率で防衛的な反応を取ってしまうことが予想される場合は、親との対決を保留するべきです。
親との対決に必要なのは、相手がネガティブな反応をし、自分を苛立たせたり、不安にさせられたりしても、それをコントロールし、自分の意見を言うことができる、という自信を持った時です。
そのためには自分と向き合い、自分の心をコントロールする術を身につけ、冷静に会話をするスキルを身に付ける必要があります。その方法については「毒になる親」でも述べられていますし、あなたが私を信頼してくれるのであれば、私のサイトや、あなたが信頼できると思う情報源を参考にしてもいいでしょう。
とにかく、親との対決にはある程度人格の強さを築いておく必要があります。ただ、だからと言ってもう十分に自分と向き合い練習を積んでいるのに躊躇するのは違います。勇気と冷静さのバランスが必要であり、その判断はとても難しいものです。
この、対決をいつ行うべきか、という点について「毒になる親」には次のように書かれています。
『時期の設定は慎重に考える必要がある。準備もせずにやぶから棒に始めたのではもちろん良い結果は生まないが、いつまでも延期しているのもまた良くない。
多くの人は、実際の行動に移るまでに次の三段階の心理状態を通過する。
第一段階 そんなことは自分には到底できそうにない。
第二段階 いつかするが、いまはまだできない。
第三段階 いつやればいいのだろうか?(p257)
『カウンセリングを受け、他の練習はすべてうまくいっても、第二段階に進むまでには二ヶ月近くかかるのもまれではない。だがそこまでいければ、第三段階にはたいてい数週間で進める。』(p257)
あくまで目安ですが、自分と向き合い自分を取り戻す経験をある程度積み、そこから親との対決を決意するまでに2ヶ月近く、さらに実際に対決に進むまでに数週間とありますので、もしあなたが自分がアダルトチルドレンであることに気づき、これから自分と向き合い始めるのであれば、半年であるとか、1年であるとか、あるいはもっと長いかもしれませんが、それ相応の時間が必要になることを理解しておく必要があります。
それは今苦しい思いをしているあなたにとって、果てしなく長く感じる期間かもしれません。「今の苦しみをどうにかしたいんだ、今すぐ何とかしたいんだ」と思う気持ちは分かります。私もそうでした。自分と向き合う期間が絶望的に長い期間に感じたことは何度もあります。
ただし、経験上言い切れることがあります。それは決して短い期間ではありませんが、絶望的に長い訳でもありません。必ず遠くない将来に終わりが来ます。だから、今は抑えきれないかもしれませんが、少しでも衝動を抑える意識をしましょう。そこから始まります。自分のために衝動を抑える回数と時間を少しずつ長くしていくのです。
どのように親と対決を行うのか
「毒になる親」では直接会って話をする方法か、手紙による方法を推奨しており、電話による対決は感情的なコミュニケーションに向いておらず、一方的に切られる可能性もあるため、という理由から推奨されていません。
ただし、私の場合は電話による対決を行い、それでもある程度の効果は得られた、と感じています。
対決時に話す内容としては、私が対決した時は話した内容はその場で考えましたが、「毒になる親」には次のような内容を含めると良いと書かれており、私もそう思います。
『1 あなたが私にしたこと
2 その時の私の気持ち
3 そのことが人生に与えた影響
4 現在のあなたに望むこと』(p260)
対決の時の様子
私は電話で母親との対決を図りました。それまでに「毒になる親」などを読み、ある程度のワークや実践をこなした後でした。ただ、今になって思うと私にとってはまだ対決の時期は早すぎたのかもしれないな、と考えています。
私は平日の夜に対決を決行することにしました。ただ、その時の不安、恐怖、緊張は物凄いものでした。電話を手にしたままボタンが押せず、おそらく1時間以上その場で固まっていたと思います。ただ、ある程度時間が経ってから意を決してボタンを押しました。
父親が出ました、頭の中は真っ白になりかけていましたが、母親に変わるように告げました。母親が出ました。緊張のため何を言ったかあまり覚えていませんが、過去に宗教に行かされて嫌だったこと、酷い扱いをされて傷ついたこと、などを伝えたと記憶しています。
母親の反応もあまり覚えていません。悲観的な人だったので私はそんな酷いことを言ったのか、という感じの反応だったと記憶しています。
時間は短かったです。おそらく10分も話してはいなかったでしょう、伝えたいことを告げ早々に電話を切りました。
対決の結果どのような変化が訪れたか
私の対決は上述のように終わりました。今思うとあまり良い対決ではなかったのかもしれませんが、私には確かに一つの変化が訪れました。その変化について「毒になる親」に適切に表現されていますので紹介します。
『話し合いの直後には、突然、勇気と力が湧いてきたような気分になり、一時的に高揚した幸福感のようなものを感じることがある。』(p272)
まさにこのような感覚であったことを覚えています。対決自体がうまくいった訳では無かったと思います、親との関係が修復された訳でもありませんでした。
ただ、私の中に「勇気を出して電話をかけることができた、親にずっと抑え込んでいた気持ちを言えた」という不思議な自信がみなぎってきたことを覚えています。
毒親との対決で全てが解決されるか
毒親との対決後、私にとっての問題が全て解決され、その後の人生がうまくいっているかというとそういう訳ではありません。
機能不全の家族で育った代償は大きく、私は精神面でも人格的にもまだまだ成長しなくてはいけません。傷つきやすい心は今でも持っています。
ただし、毒親との対決を経験したことにより、私は自分の感情だけに左右されず、自分の意思で自分の感情に関わりなく問題に建設的に立ち向かえることができるようになりました。毒親の支配から抜けるというのはきっとこういうことなんだと思います。
ですので、もしまだ毒親に感情的に支配されている、と感じている方がいるのであれば、毒親との対決を検討してみることをお勧めします。
前向きな言葉を使おう【アダルトチルドレン克服】
今回も毒親から自分を取り戻す方法、ということで、私が毒親から自分の人生を取り戻した具体的なエピソードを紹介します。
私が意識して努力をしてうまくいったことのひとつに、前向きな言葉を使う、というものがありました。
機能不全の家庭で育っていた私は、無意識のうちに悲観的で否定的な言葉を使うことが癖になっていました。
それは反射的に否定的な言葉や悲観的な言葉がすらすらと出てくるのです。
それは周りや物事に対してもそうですが、自分に対してもそうでした。
周りを否定して、
自分を否定して、
私は全く楽しくないし、私の周りの人生はネガティブなものであふれていました。
私は人生が嫌でした。
何をやってもうまくいかず、何をやっても楽しくありませんでした。
もう嫌だ、生きていても楽しいことなんて何にもない。
社会に出てからはずっとそんなことを思っていました。
嫌なことばかりが考えたくなくても頭の中に浮かぶのです。
振り払おうとしても振り払えないのです。
社会に出て、せっかくの休日に、一人部屋の中で絶望に暮れていたことが何度もありました。
そこで私は考えました。
「もうこんなに辛いのは嫌だ、やけくそだけど、嫌なことは考えず、前向きなことだけ言ってやる」
と。
そして、私は思ってもいない前向きな言葉だけをとにかく使うことにしました。
例えそう思えなくても、とにかく前向きなことを言いました。
楽しいと思っていなくても、「楽しいね」と、
良いと思えなくても、「めっちゃいいね」と、
好きと思えなくても、「めちゃくちゃ好き」と、
うまくいく気がしなくても、「大丈夫です、うまくいっています」と、
とにかく後ろ向きな言葉を封じ、前向きな言葉だけを使うことだけにしました。
すると、どうなったか。
本当に不思議なことに、自分の気持ちと、周りの反応が変わりました。
私はただ言葉を変えただけです。
それなのに、楽しい、うれしい、好き、と言っていると本当に楽しい気持ちになってくるし、
うまくいっています、大丈夫です、と言っていると、本当に物事がうまく進みはじめました。
苦手だな、と思っている人にもあえて、「好きですね」とか、「話していて楽しいです」とか、
そう言っていると、本当に関係が良くなってくるのです。
これは、自分の中で驚きでした。
気持ちは全くそんなこと思えていないのに、言葉と行動を変えるだけで気持ちが変わるのです。
その頃から私は、以前の自分が嘘のように人間関係を築けるようになりました。
以前は友達と思える人が全くいなかったのが、
少しずつですが、友達と呼べる関係の人が増えました。
自分の能力が変わった訳ではありません。
ただ、物事に対する態度と行動を変えただけです。
それで全てがうまくいく訳ではありませんが、前向きな言葉は前向きな結果を呼び込みやすいです。
もし自分で、否定的な言葉ばかりを使ってしまっていると自覚している人がいるのであれば、一度嘘と思って前向きな行動をしてみることをおすすめします。
嘘でもいいのです。
前向きな言葉を使ってみると、それだけで変わることが結構あると思っています。
嫉妬心を克服する【アダルトチルドレン克服】
前回の記事で、私がどのように自分の感情を感じ、自分の行動を変えることができたかという話をしましたが、
考え方と行動の修正については、長い時間をかけて何度も何度も行ったことでしたので、その具体例を今後いくつか書いていきたいと思います。
今回書くのは嫉妬心についてです。
私は長い間強烈な嫉妬心に悩まされてきました。
今回は私が嫉妬心を克服したエピソードをひとつ紹介しようと思います。
私は今の妻と付き合っていた当時、かなりの嫉妬心を抱えていました。
それは、自分は今までやりたいことを親から奪われ、人間関係もうまくいかず、友達も少なく、仕事もうまくいかない、という劣等感からでした。
劣等感自体は誰しも抱えていることだと思いますが、特に私の場合被害者意識が強かったものですから、その強烈な嫉妬心をコントロールすることは困難なことでした。
嫉妬心だけが原因ではありませんが、今まで付き合ってきた女性とも、自分の中の負の感情をコントロールすることができずうまくいきませんでした。
付き合い始めは良いのですが、そこから関係が深まるどころか、相手への不満が溜まり、非難の目で見るようになり、気持ちが冷めていき、絶縁状態になって別れる、といった感じでした。
そんな私でしたが、妻と結婚するまでの間に嫉妬心を克服しました。
どのように克服したか、についてですが、
まず、モチベーションが大きかったと思います。
今まで付き合った女性が決して魅力的ではなかった訳では無いのですが、
妻について、私は運良く付き合うことができたので、どうしてもこの人と結婚したいと考えておりました。
なので、『この人との関係だけは絶対に壊したく無い』と強く思っており、そのために自分が何としてでも変わろうと、と確固たる決意を持っていました。
そして私は自分の負の感情と向き合うことにしました。
まず、私は自分の持つ劣等感から、
妻が卒なく人間関係や仕事をこなしてるいることに強烈に嫉妬していました。
また、妻が仕事の同僚と楽しく集まっていること、そしてその中に男性がいること、
これらの事実は私の嫉妬心を強烈に燃やし、私を苦しめました。
私は嫉妬心が爆発しないよう抑え、例の如く紙に書き出しました。
私はどのように感じていて、どうなりたいのか。
今でもハッキリと覚えているのですが、私がその時抱いていた感情は、
『私は彼女がうまくいっているのがたまらなく羨ましい、自分はそうなれないのが辛い、楽しく友達と集まっているのが辛い、いつか他の男に取られてしまうのではないかと思う。
いっそ彼女が人間関係も仕事うまくいかなくなって、私無しでは生きていけなくなってほしい。』
当時私は20代後半だったと思いますが、こんな感じの内容を紙に書きました。
これが私の望んでいたことです。
何をバカなことをと思うかもしれませんが、私にとって相手が不幸になってくれることが、私が相手と安心して一緒にいられる方法だと考えていたのです。
そして、『毒になる親』を読み、私が自分と向き合うまではこういったことを、心の奥底にしまい込み、社会生活を送っていました。
これではうまくいくはずがありません。
紙に気持ちを書き出す習慣がついたことから、私は自分のこうした気持ちに気付くことができました。
そして、考えます。
これで、うまくいくだろうか?
これは、自分の望む結果を生むだろうか?
答えはNOです。
私にとって発見だったのは、私のこの感情と考えを紙に書き出した結果、私のしようとしている考えと行動は私の望む結果とは正反対の結果を生むであろう、ということです。
これがいわゆる自滅的行動というやつでしょう。
私はどうしたらいいか考えました。
思い付いた案は、
『笑顔で彼女を送り出す』
ということでした。
もしかしたら他の男に奪われてしまうかもしれないけれど、彼女とうまくいく確率を上げる方法は、この方法だろう、という答えを出しました。
ただ、この答えが出ればそれでオッケーかというと、話しはそんな簡単ではありません。
その案が出ても、その行動ができる気がしないのです。
嫉妬心や不安、捨てられるかもしれないという恐怖がその行動を実行することをものすごく困難にしているのです。
とても言える気がしません。
とても笑顔でいれる気がしません。
でも、そうしなければより悪い結果を引き寄せるであろうことは分かります。
私にとって必要だったのは勇気でした。
今ならもう少し段階を踏むことができるかもしれません。
仲間に相談して、ロープレをして、どういう言動がどういう気持ちを産むかを練習できたかもしれません。
ただ、当時は違います。
そんな練習相手もいなければ、ノウハウもありません。
ぶっつけ本番でやるか、やらないか、の世界でした。
この気持ちを伝えることは難しいのですが、本当に崖から飛び降りるような気持ちでこの行動を実行したことを覚えています。
えいや!とか、ままよ!とか、
本当にそんな感じです。
不自然だろうがカッコ悪かろうが構わない、なりふり構わずやります。
そうしないと自分の不安や恐怖は拭えません。
とにかく勇気です。
そして、私は当時の彼女が友達と遊びに行くのを、同僚の集まりに行くのを、
『行っておいで、遅くなってもいいから、ゆっくり楽しんできてね』
と送り出すようになりました。
すると、彼女との関係がうまくいったことはもちろんですが、私自身にも変化が訪れました。
私自身が自分に自信を持てるようになったのです。
それは多少ですが、確実な変化でした。
一度その行動ができるようになってからは、次の行動をすることは難しくありませんでした。
私は嫉妬心に負けず、彼女を容易に送り出せるようになりました。
そして、そのことは私と彼女の関係をより良好なものにしました。
私は自分を自滅させる行動を変え、自分が得する行動を獲得したのです。
一度獲得してメリットがある、と分かるとその行動を習慣にすることは難しくありせん。
こうして、私は自分の嫉妬心を克服しました。
自分を変える【アダルトチルドレン克服】
前回の記事では、自分の感情を感じ取り、自分がどうしたいか理解する方法について書きました。
今回は、自分の本心を理解した私が、自分自身をどのように変えていったか、について書きたいと思います。
私は、「毒になる親 [ スーザン・フォワード ]」という本を読み、その本に出てくる質問やワークをこなしながらひとつひとつ自分の感情を取り戻していきました。
私は、機能不全の家族に育てられ、間違った考え方と、行動の癖をつけてしまっていたことを理解しました。
どのように間違った考え方と、行動の癖を直せばいいのでしょうか。
結論を先に言うと、正しい考え方と行動について知り、繰り返し練習し、勇気をもって実践すること、が正解でした。
しかし、そんなことが書いてある教科書はなかなかありません。
勉強やスポーツであれば教科書や教本がたくさん存在します。
そもそも、勉強やスポーツであれば練習すれば上達する、という考えが頭の中にあるんですが、自分の考え方や行動が練習によって上達する、なんて考えたことがありませんでした。
なので最初はかなり手探りな方法でした。
例えばどんな方法かというと、まず私は例のごとく自分の感情とどうなりたいかを紙に書きだしました。そして、それに加えて今行っている間違っているであろう行動と、正しい行動も紙に書くことにしました。
例えば、飲み会で全く楽しめなかったことについて、
「私は飲み会でうまく話せなくてさみしい思いをした。みんなと仲良くなりたいと思っている。」
といつものように書き出します。そして今している行動を書きます。
「黙り込んでいる。話しかけられた時不機嫌な返事をしている。」
そしてまた考えます。
私はこの行動でみんなと仲良くなれるだろうか、と。
答えはNoです。
そして、自分にさらに問いかけます。
皆と仲良くするにはどうすればいいか、飲み会が少しでも楽しめるためにはどうすればいいか。
自分で考え、自分の案を紙に書きます。
「話に入れない時は少しでも楽しむために美味しそうな食べ物があればそれを食べよう。話しかけられた時は笑顔で前向きな発言をしよう。」
こんな感じです。
正直気乗りはしません。
「なんで自分がそんなことしなきゃいけないんだ」とか、「そんなことやったって意味がない」とか否定的な言葉が反射的に頭によぎります。
ただ、ここで自分に負けないというのは難しいことですが、自覚することは大切だと思います。
「この思考は毒親から引き継いだ私を不幸にする考え方だ」と。
ただ、おそらく何度やってもこの思考に引き戻されてくるでしょう。
癖とはそういうものです。
思い立って、飲み会で実践しても一回でうまくいくわけではありません。
私も案を思いついて、気乗りした時は飲み会で実践するのですが、最初の方はそう行動できたとしても、だんだんだんだん疎外感を感じ、勝手に気持ちが暗い気持ちになっていき、最終的にさみしい思いをして帰ってきたことが何度も何度もあります。
そのたびに、「どうせ無理だ」、「私にはできっこない」、と何度も何度も同じ思考と行動パターンに引き戻されます。
行動を変えるというのはかなり大変なことです。
例えば「ダイエットをする」と宣言して成功する人がどれだけいるでしょうか。
それは不可能なことではないにも関わらず、成功するケースよりも失敗するケースの方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
それは、太る生活習慣が癖になっているからです。
仮に一回瘦せたとしても多くの人がリバウンドをしてしまいます。
癖、とはそれほどまでに強い力を持っています。
毒親から引き継いだ考え方と行動についても同じことが言えます。
何度も何度も同じ場所に引き戻されてしまうのです。
なぜかというと、損をしているにもかかわらずその場所が自分にとって楽だからです。
太っている人もそうです。適切な体重である方が健康面で良いと理解していても、元の生活に戻ってしまうのです。
だから、多くの人は何度も何度も同じところに引き戻されてしまうのです。
ただし、これだけは理解しておいてください。
変わることは不可能なことではないのです。
太った人が痩せることは不可能でしょうか?
おそらく多くの人が「No」と答えるでしょう。
同じです、人の考え方と行動は変えることができます。
きちんと痩せてその体形を維持できている人がいるように、考え方と行動も直すことができます。
それだけは信じていてください。
私は何度も何度も同じ場所に引き戻されました。
そのたび絶望して打ちひしがれていました。
けれども、それでも何度も何度もチャレンジすると、変化が現れてきます。
飲み会の話で言うならば、楽しむようにすること、思っていなくても前向きな言葉を使うこと、なるべく笑顔でいること、
これらは獲得するのに時間はかかりましたが、こういったことを繰り返していくことで少しずつ飲み会が嫌ではなくなってきました。
「あ、こうすればいいんだ」
ということが少しずつ分かるようになってきます。
これは、私が自分を変えた1例に過ぎませんが、他にもいろいろな部分を同じ方法で変えていきました。
おそらく、その具体例の一つ一つが私と同じように苦しんでいる方の少しでも役に立つのではないかと思いますので、次回以降そういった具体例をいくつか記事にしていきたいと思います。